パキスタンってどんな国?元在住者が語るリアルなパキスタン事情

パキスタン風景 パキスタン
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こんにちは!さこまよです。

今回はいつもと少し毛色を変えて、自らのパキスタン在住経験からパキスタンという国のリアルについて、ご紹介したいと思います。
この記事を皮切りに、パキスタンという国について、今後も情報発信していけたらと思っています。

私は、3年間、家族の仕事の都合でパキスタンに住んでいたことがあります。
また、私の家族がつい昨年までパキスタンに住んでいたので、日本ではあまり手に入らない最新情報まで把握することができています。

パキスタンの情報は日本ではあまり手に入らない、と申しましたが、確かに、ネットを調べてみても、政府機関などの情報以外、信ぴょう性のありそうなものや深堀した詳しい情報はあまり転がっていません。

また、あの「地球の歩き方」でさえ、最新版の出版が2007~2008年で止まってしまっています…

そう、情報がほとんど手に入らないパキスタンですが、自動車関連や商社や政府機関の方など、駐在する方もいらっしゃいますし、以下でご紹介するモヘンジョダロやラホール、フンザなどに観光で行かれる方もいらっしゃるようです。

「観光でパキスタン行ってみたいな~」という奇特な方や、「仕事でパキスタンと関わることになった!」という乙!な方、単に「パキスタンについて興味がある」という方のために、パキスタンという国について、多角的かつ深く、リアルに、お届けしたいと思います!!

それではさっそく、見ていきましょう。
まずは、パキスタンという未知の国の簡単な概要を、在住時の経験を交えながらご紹介します。

パキスタンってどこにあるの?

そもそも、パキスタンってどこにあるかご存知でしょうか。

私が聞かれて答えるときには、「インドの隣だよ」ってざっくり回答するのですが、詳しく言うと、以下の通り。

  • インド、アフガニスタン、イランの3国に囲まれている。
  • インドの西、アフガニスタンの南、イランの東側にある。
  • 北側はインドと領土争いをしている「カシミール地方」があり、カシミール地方の北側には中国がある。

はい、改めてみると結構すごい場所にあるな~という感想です。
アフガニスタンと国境を接しているわけですからね。
9.11の際にはタリバンというイスラム主義のテロ組織の活動拠点でもあったことで、パキスタンの名は日本でも知れ渡りましたね。

でも、聞かれたときになぜ私が一番に「インドの隣だよ」と言うかというと、つい1947年まで、パキスタンとインドは同じ国であったため文化や人種が似ており、パキスタンという国の様子について、インドの情景を思い出してもらえればパッと連想しやすいかなと思っているからです。

パキスタンの歴史については後述します。

パキスタンの首都、最大都市は?

パキスタンの首都はイスラマバードです。
最大都市は、カラチです。

元々、1947年パキスタン独立時の首都はカラチでしたが、インドとの領土紛争を抱えるカシミール地方により近いイスラマバードが1969年に首都に変わりました。

とはいえ、カラチはいまだにパキスタンにおいて人口が1番多く、ビジネスや産業の拠点となっていることから、都市としての規模においてはイスラマバードより大きいです。

したがって、イスラマバードは政治の中心、カラチは商業の中心、と言えます。

パキスタンの宗教は?

パキスタンの国教はイスラム教です。
国民の97%がイスラム教徒で、その他にはヒンドゥー教徒が1.5%、キリスト教徒が1.3%、ゾロアスター教徒が0.2%いると言われています。

基本的に穏健ムスリムと言われるスンニ派(スンナ派)が大部分を占めており、過激派ムスリムと言われるシーア派は2割程度と言われています。
ですので、一般的に日本人がイスラム教徒と言って連想する、女性は顔を隠して男性は白い装束を着ている、といった格好をしている人はほとんどおらず、女性も普通に顔と髪の毛を出していますし、男性の普段着も洋服の場合もあります
女性は肌は出していませんけどね。

パキスタンでのイスラム教に関するエピソードは語り始めるとキリがないので、別記事でご紹介します。

モスク

イスラム教ってどんな宗教?概要と歴史をわかりやすく解説します!

パキスタンの言語は?

パキスタンの国語はウルドゥー語です。
大体、「え、何それ?」と聞き返されるのですが、本当にざっくりと言うと、ウルドゥー語というのは、アラビア文字に似たウルドゥー文字を使用した、ペルシャ語とアラビア語の方言みたいなものです。
文字はパッと見、アラビア語みたいに見えます。
アラビア語と同じで、右から左に向けて文字を書きます。

ただ、ウルドゥー語が国語とは言っても、実はウルドゥー語を母語としている人は人口の1割未満であるらしいです。
実はパンジャーブ語やシンド語などを母語とする人が多いのです。

「じゃあ、パキスタンに行く際は、ウルドゥー語やパンジャーブ語を話せないといけないの?」と不安になった方。
いいえ、都市部であれば、英語も通じるのでご安心を。
公用語としては英語が定められており、法律や公文書、高等教育機関では全て英語が用いられているため、アッパークラスの人や日本人がビジネスの相手として対峙する人はほぼ英語が話せます

ただし、貧困層や地方に行けば、英語が通じないことが多いので要注意です。

なお、パキスタンの2015年時点の識字率は、男性が69%、女性が40%となっていて、字が読み書きできない人も結構います。
特に、農村地域の女性などは17%にとどまり、ほとんどの人が読み書きできない状況です。

(参考:EFAグローバルモニタリングレポート2015、ユネスコ)

パキスタンの気候は?

パキスタンはざっくり言って、暑いです!!
そして雨がほとんど降りません!!!

以下はカラチの平均最高・最低気温のグラフです。

カラチの気候の図

https://ja.weatherspark.com/y/106467/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%81%E3%80%81%E3%83%91%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B0%97%E5%80%99

特に4月から8月くらいまでは暑いので、観光で行く方は要注意!
この時期は避けた方が無難です。
反対に、冬は涼しいのでオススメ。

南の方が暑く乾燥しており、北は少し涼しく雨が降るので、気候としてはカラチよりイスラマバードのほうが過ごしやすいです。

パキスタンの民族衣装は?

パキスタンの民族衣装は「サルワール・カミーズ」と言って、シャツを意味する「カミーズ」とズボンを意味する「サルワール」でできています。
更に、女性は髪を隠すストールの3点セットで着ています。
しかし、宗教のところで述べたように、最近は女性も顔や髪を隠さないので、ストールは首に巻くアクセサリーやファッション的要素が強いです。

パキスタンは綿花製品が良質で、生地の種類がとても豊富。
サルワール・カミーズも皆さん大変オシャレに着こなしています。
また、サルワール・カミーズにも流行りの型があり、見ているだけで楽しい♪

サルワール・カミーズ

https://www.gulahmedshop.com/より

布の合わせ方がとってもオシャレなんだよね~~

サルワール・カミーズ

https://www.gulahmedshop.com/より

イスラム教徒の国なので、女性の体の線が出ないようになっていて、かつ、肌を極力隠す形になっています。
また、暑い国なので、生地は薄く、綿素材であることが多く、風通しが良い作りになっています。

とてもオシャレで快適、かつ、市場には生地のパターンがたくさん売られていて、選ぶのがとっても楽しいので、現地に住む外国人も必ず1着は自分用にオーダーします。

基本的に、既製品ではなく、生地を自由に選んで自分のサイズに合わせて仕立て屋さんでオーダーメイドして作る場合がほとんどです。
縫製技術も高く、代金も安いので、ぜひ、作ってみてはいかがでしょうか!?

私も実は3着ほど持っているんですよね~!

この2着は両方、自分の私物です。
もう1着、よそ行きのがあるのですが、サイズが合わなくなったため、着用画像がありません(´;ω;`)

私のサルワール・カミーズ

ちなみに、男性のサルワール・カミーズは以下。
柄も少なく、無地で落ち着いたアースカラーやパステルカラーの生地で仕立てられていることが多いですね。

男性のサルワール・カミーズ

https://www.gulahmedshop.com/

民族衣装に関しては、別記事で詳しく述べたいと思います♪

パキスタンの歴史

パキスタンの歴史については、特にインドやバングラデシュとの関係を重点的に、私も勉強しました。
詳しい歴史については、別記事で深堀するとして、ここではざっくりと簡単に、必要最低限ご紹介するに止めます。

パキスタン、という国が地図上に初めて登場したのは1947年8月14日ですが、その歴史を知るには実はもっともっと古い、「インダス文明」の時代にさかのぼらなければなりません。

パキスタンはインダス文明が栄えた場所

インダス文明、というと、世界史を学習した皆さんは「世界4大文明」のうちの一つだとお分かりになりますね。
インダス文明は、紀元前2500年から紀元前1500年頃までインダス川流域に成立した都市文明です。
そう、パキスタンはまさに、そのインダス文明発祥の地としても知られています。
インダス文明が最も栄えたのは「モヘンジョダロ」と「ハラッパー」という場所で、どちらも現在のパキスタンにその遺跡が残っています。

パキスタン、歴史が深いぜ…!

パキスタンを訪れた際は、ぜひ、モヘンジョダロやハラッパーも見てみてください。
ただし、足があまりないので、無理はせずに…
私が住んでいた時は「危ないので行くな」と言われ、行けませんでした涙

ペルシャ王朝~イスラム王朝の支配

パキスタンの国教はイスラム教で、現在も国民の97%がイスラム教徒であるとは先ほど述べましたね。

イスラム王朝が支配するまでは、アケメネス朝ペルシャやアレキサンダー王国などによる支配が続きました。

現在のパキスタンがある南アジア地域へのイスラム教の伝播は紀元711年頃、ウマイヤ朝支配下の時代だと言います。

その後、有名どころでは16世紀初頭から18世紀初頭まではトルコ系イスラム王朝であるムガル帝国による支配が続きました。

大英帝国による支配

18世紀以降はムガル帝国が滅亡し、大英帝国の直接統治が始まりました。
この頃、現在のインドとパキスタンは同じ「インド」として統治されていました。

しかし20世紀前半、インドではイギリスによる搾取への反発が強まり、自治権拡大の運動が激しくなりました。
また、同じインドであっても、ヒンドゥー教徒の多い現在のインドの地域と、イスラム教徒の多い現在のパキスタンの地域とは分かれて独立を目指す動きが見られました。

パキスタン国樹立

パキスタン樹立の父として今でも尊敬される「ムハンマド・アリ・ジンナー」は、1940年、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の分離独立を要求する「二民族論」を主張し、結果、1947年8月14日にイギリス連邦の自治領として「パキスタン国」が樹立しました。

その後、1965年には憲法が制定され、パキスタンイスラム共和国となりました。

印パ戦争

パキスタンとインドが分離独立を果たした後、「カシミール地方」の領有権を巡って、インドとパキスタンの間では領土紛争が起こり、第一次印パ戦争が勃発しました。

その後、第二次印パ戦争が続きます。
そして、バングラデシュの独立を巡り、第三次印パ戦争が勃発。

第三次印パ戦争はパキスタンが敗戦し、それまで東パキスタンと呼ばれていたバングラデシュは1971年にパキスタンから独立します。

続く政情不安

第三次印パ戦争後は、スルフィカール・ブットー政権の下、民主政治に戻りましたが、その後もたびたび軍事クーデターが起こり、民政と軍事政権が交互に政権を握る事態に。

特に、最近だと、1999年パルベー・ムシャラフがクーデターを起こし、軍事政権が続きましたが、現在では文民のザルダーリー大統領に続き、アリフ・アルヴィが大統領職に就いています。

私は、ちょうど、ムシャラフがクーデターにより大統領に就任した際にパキスタンにおり、不安になったのを今でもよく覚えています。

そして、インドと張り合ってしょっちゅう核実験をやっていた時期もありました。
今も核を保有しています。

ちなみに、パキスタンは連邦共和制を取っており、大統領と首相がいます。

パキスタンの治安はどうなの?

はい、悪いです。

すこぶる悪いです。

しょちゅうイスラム過激派などによるテロや、政府への不満や社会不安によるデモやストが起こっています。
誘拐や、外国資本のホテルなどを狙った爆破事件も頻発しています。
滞在中も何度も領事館や大使館などによる外出禁止令が出ました。
アメリカとの関係が悪いため、アメリカ資本のインターナショナルスクールなどはしょっちゅう閉鎖しており、アメリカ人は帰国させられたりしていました。

ですので、安易に観光に行かないこと!!!

行く場合は、完全に自己責任になります。
何があってもおかしくない地域です。

外務省が出している危険情報では、危険度2~4の地域がある状態で、不要不急の渡航は避けるよう勧告が出されています。
特に、アフガニスタンとの国境を接する辺りは危険度4退避勧告が出ています…OMG

パキスタン危険情報

外務省HPより

それでもやむを得ず渡航される場合は、必ず外務省のHPで最新情報を入手したうえで準備をしっかりしてくださいね。
2007年には非常事態宣言が出されたりもしていますからね。

外務省海外安全ホームページ(パキスタン)

この辺の治安関係の体験談も後日記事にできればと思っていますので、乞うご期待!!(;^_^A

核実験の時とかも怖かったわ…

パキスタンの経済は?貧しいの?

はい、貧しいです。

外務省のHPによると、

  • 実質GDPは約3,050億ドル(2017年)
  • 一人当たりGNIは約1,640米ドル(2017/2018年度パキスタン経済白書)

となっており、世界平均のおよそ10%の水準です。

1日2ドル未満で暮らす貧困層は9710万人(2011年アジア開発銀行公表)とされ、国民の半数が貧困なのです。

街には物乞いやストリートチルドレンがたくさんおり、胸を痛めたのを覚えています。

車で信号待ちをしていると、窓ガラスを「コンコン」と叩かれ、見ると、腕のない乞食や子供がおり、食べ物が欲しい、と言うジェスチャーをしながら佇んでいるのです。

見ている方も辛いのですが、一度与えてしまうと顔を覚えられて取り囲まれるため、窓を開けないようにと言われました。

ショックでした。

このあたりのエピソードや詳しい実情も追々記事にしたいです。

パキスタンの観光地は?

こちらも別記事を作成予定ですが、以下にざっくり。

  • ラホール城(ラホール)
  • バードシャーヒーモスク(ラホール)
  • シャーラマール庭園(ラホール)
  • ファイサルモスク(イスラマバード)
  • モヘンジョダロ
  • ハラッパー
  • フンザ
  • ミナーレ・パキスタン(ラホール)
  • ロータスフォート(ジェーラム)
  • インド・パキスタン国境、ワガーボーダー(ラホール)
  • ジンナー廟(カラチ)
  • モハッタ宮殿(カラチ)
  • ジャハーンギール廟(ラホール)
  • クリフトンビーチ(カラチ)
  • エンプレスマーケット(カラチ)

はい、実際に行ったことのある場所、行った人を知っている場所を中心に挙げてみました。

結構あるんですよね。
治安さえ良ければ行きたいところがたくさんある。
自然が美しい場所も多いのですが、足もなく、治安も悪いので玄人向け観光地となっています。

初めて観光に行くなら、まずはラホールと、イスラマバード、カラチを目指していかれるのが良いでしょう。

パキスタンでの生活について

パキスタンのマーケット

現在、パキスタンには1,078人の日本人が住んでいます(2018年海外在留邦人調査統計)。
その多くがカラチかイスラマバードに住んでいると思われます。
主に、商社や自動車産業などの会社の駐在員、外務省やJICAなどの政府機関の方、日本人学校の教員、現地に永住している方です。

パキスタンでの生活は正直「ツライ」の一言でしょう。

イスラム教のしきたりに慣れない。
日本食レストランもほとんどなく美味しくない。お酒も飲めない。
治安が悪いので自由に出歩けない。生命の危険もある。
しょっちゅうテロや政治集会がある。
遊ぶ場所もない。
暑い。
乞食が怖い。
スラム街がある。
人がじろじろ見てくる。
衛生状態が悪い。
お腹を激しく壊すことがよくある。
水不足。
定期的な停電。
病気になってもいい病院がない。
雨が降ると街が洪水になる。

パキスタン人はなぜか日本人が好きなので、やたら声をかけて来たり、写真を撮りたがったりします。
やはり、アジア人が珍しいのか、街ではジロジロ見られて嫌でした。
人は悪くないのですが、毎日となると…

一方で、生活水準はかなり高い方になるので、大きな豪邸に住めたり、使用人を何人も雇えたり、ガードマンが付いたり、大富豪になった気分は味わえます。

ただし、暑いのに停電になってクーラーが使えなかったり、水がなくてシャワーが浴びれなかったり、そんなストレスが多いです。
とにかく、日本人が住むにはかなりの精神力と忍耐力が必要で、身体的ダメージも大きいでしょう。
ご飯が美味しくないので、痩せます。

この辺のネタは追って、詳しく記事にします。

パキスタンの描写がある書籍

未知の国と言いつつ、パキスタンを舞台にした小説や紀行文は結構あります。
パキスタンの雰囲気をよく表している書籍をいくつかご紹介します。


パキスタンを知るための60章 エリア・スタディーズ

こちらはパキスタンを知るための基本的な事項が分かりやすく網羅されています。パキスタンに関するこういった本は少ないので貴重!

深夜特急は旅好きの方にとってはバイブル的紀行文だと思いますが、この深夜特急の第4巻からパキスタンに入ります。
とっても良く描写されていて、生き生きと情景が伝わってきます。

沈まぬ太陽は、山崎豊子氏作の長編小説ですが、主人公が冷遇されて一時期カラチに左遷されてしまうのです。
そんな左遷先になるようなひどいところに住んでいたのね、私たち。と少し笑ってしまいましたが、描写はリアル!

いまや司会者としてバラエティーに欠かせない存在の有吉さんが最初にブレイクしたきっかけとなった電波少年でのヒッチハイク旅を書籍にしたもの。
パキスタンにもちょろっと行ってます。

おわりに

パキスタンという未知の国について、少しは理解が深まったでしょうか?
結論を言うと、「日本人が住む場所としてはすごいハードルが高い」ということ。
観光も治安が悪いのであまりオススメしないのですが、実はいいところがたくさんあります。

在住経験も交えて概要をまとめましたが、より深堀りした個々の記事を今後追加していく予定です。
リアルに、濃く記載して行く予定なので、乞うご期待!!!

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